えみりです!
プリンストンは他の大学とは異なって、冬休みに明けに期末試験→1週間の休み→2月頭から新しい学期が始まります!!
9月に入学し、大学初めてのセメスターを無事(?)終えたところで、今回のローテーションは、
「とりあえず秋学期を振り返ってみよう!」
と思います。
とは言っても、4ヶ月で色々あったので、私はその中の授業に絞って書こうと思います!
プリンストン大学では基本、1学期に4つの授業を取ります。
私が今学期履修した授業はこちら、
- HUM216: Interdisciplinary Approaches to Western Culture I: Literature and the Arts(西洋文学・芸術)
- HUM217: Interdisciplinary Approaches to Western Culture I: History, Philosophy, and Religion(西洋の歴史・哲学・宗教)
- ECO101: Introduction to Macroeconomics(マクロ経済入門)
- CHI101: Elementary Chinese I(中国語入門)
ちなみに1週間のスケジュールはこんな感じ〜
HUM216-217は合わせて「Humanities Sequence」
と呼ばれ、登録上は2単位になりますが、実際は1つの授業です。Comparative Literature Departmentが主催しているコースで、1年かけて2500年にわたる西洋文学を60冊読む授業!!!!
今学期読んだ本はこちら:
- ホメロス『オデュッセイア』『イーリアス』
- ヘロドトス『歴史』
- サッポー『抒情詩』
- ソクラテス以前の哲学者たち
- アエスキュロス『オレステイア』
- ソフォクレス『オイディプース王』
- アリストテレス『詩学』
- エウリピデス『バッコスの信女』
- アリストファネス『蛙』
- トゥキディデス『戦史(ペロポネソス戦争の歴史)』
- プラトン『饗宴』『国家』
- アリストテレス『政治学』
- プラウトゥスのローマ喜劇『プセウドルス』『ルーデンス』
- キケロ『栄光について』『義務について』『友人宛書簡集』『カティリナ弾劾第2演説』
- リウィウス『ローマ建国史』
- ルゥレティウス『事物の本性について』
- ウェルギリウス『アエネーイス』
- オウィディウス『変身物語』
- タキトゥス『年代記』
- 旧約聖書
- 新約聖書
- 聖書の解釈(Philo, Origen, Rabbinic Literatureなど)
- アウグスティヌス『告白』
- ボエティウス『哲学の慰め』『音楽綱要』
- 聖アンセルムス『プロスロギオン』
- マリー・ド・フランス『十二の恋の物語 』
- トルバドゥール『オック語抒情詩』
- ダンテ『神曲』
*ざっくり分野別に色分けしてみました:文学、歴史、哲学、劇、宗教
授業の形式は、
- 週3回の講義(6人の教授がローテーションでレクチェー。生徒は60人程度。)
- 週2回のPrecept(教授1人と生徒15人で行うディスカッション)
- 5回ののClose Analysis Paperの提出(5ページの分析レポート)
- 期末の筆記試験(3時間のQuote IDとCommentary)
- メトロポリタン美術館と中世美術館Cloistersへの遠足
から成り立っています。
サポート体制
ペーパー提出直前の日曜日には、この授業を過去に取ったことのあるメンターの先輩方がHumanities Symposiumというイベントを開催!5〜6冊の本の中から気になる段落を一つ抜粋し、5ページにわたって分析するという課題はとても難しかったですが、Classics専攻でラテン語やギリシャ語を学んでいる先輩や、哲学や文学を専攻にされている先輩方が一緒にブレインストーミングしてくれて、とっても助かりました!
感想
全く自分の専攻とは無関係の授業だったのですが、大学生の間にこれらの本を読んでみたい!哲学や宗教は将来的に政治学を学ぶための基盤になりそう!苦手な読み書きのスキルを上げたい!など、いろいろな理由でこの授業を選びました。高校の世界史で名前だけ覚えた哲学者や歴史家の本を実際に読む点も魅力的でした。
(高校で理系だった私が文学部生のような毎日を送るようになったのは自分でもびっくりですが笑)
それにしてもこの授業はとにかくペースが早く、週3冊の課題図書、私にはどうしても読み切ることができず、置いていかれる、どうしよう…とかなり苦しまされた時期もありました。
まあ、プラトンの『国家』やダンテの『神曲』を1回の講義とディスカッションで終わらせるなんて、どう考えても急ぎすぎで、非現実的なのですが、でもそれがこの授業の強みでもあることに気づかされました!西洋文化の大きな流れを、教科書ではなく一次資料に触れながら学ぶ。ペーパー課題を通して個人的に興味を持ったパッセージを取り上げ、とにかく掘り下げて分析してみる。
馴染みのない西洋文化という面ではなかなか感覚的に掴みづらい部分も多くあり、特に、聖書を始めキリスト教の影響の強い書物には苦労しましたが、色々読んでいくうちに今の時代の私たちでも自然と持つような考え事を、何百年も昔の人々がめちゃくちゃ掘り下げて哲学的に考えて議論したり、科学の研究が発達していない中でも世界を色々な方法で理解しようとしていたんだな…ということに感動。私たちが授業で読んだ本を当時の人々も同じように読み、影響を受け、参考にしたり反論したりしながら独自の書物を残していき、色々な文化的・歴史的要素が絡み合ってどんどん発展していく流れを学期が進むにつれて感じられるようになりました。
また、全く名前も知らなかった著者に惹かれたり、この本は一生読み深めたいな、機会があれば授業を特別に取りたいな、と思える本に出会えたのも素敵な経験でした。単純に物語というフレームワークで物事を見たり、人について考えるのが好きだな、ということに気づかされました。
特にお気に入りはオウィディウスの『変身物語』、マリー・ド・フランスの『十二の恋の物語 』、アウグスティヌス『告白』、アエスキュロス『オレステイア』、プラトン『饗宴』などです〜
とにかく講義とディスカッションがメッチャEye Openingで、読むのがしんどくても教授の話を聞くたびにもっと頑張ろう!と思える授業でした。
課題図書を全て読み切るのがそもそもの目的ではない、ということに気づけてからは、初心に戻り、なぜこの授業を取ろうと思ったのかを考え直し、自分の興味と力に合わせて勉強するようにし、だいぶ気持ちが楽になりました。
来学期は、教授陣がガラッと入れ替わり、哲学や政治学関係の書物が増えるので、とても楽しみです!!
次は、マクロ経済入門
実は最初、PSY101という心理学入門の授業を取っていたのですが、気に入らなかったので、その代わりになんとなくこの授業を選びました。しかし、今まで全く触れたことのなかった経済という分野の面白さに気付かされ、経済を専攻にしようか考え始めました!社会に直接関係する題材を統計学的な手法でアプローチするという点では、私が大学で勉強したいと思っていたことに近く、また程よく実社会・政治・学問としての経済が絡み合っていて面白いと思いました。
授業の形式は
- 教科書を予習
- 週2回の講義で実社会における事例について学ぶ(特にリーマンショックについて。講義の規模は200〜300人。)
- 英国誌エコノミストの関連記事を読む(トランプ政権の財政改革案など)
- 問題集を解く
- 週1回のPreceptで総まとめ(大学院生のPreceptorと生徒約20人)
- 中間と期末の筆記テスト

サポート体制
毎週水曜日の夜に担当の大学院生がProblem Setに関する質問を受けてくれるOffice Hourがあり、その大学院生と仲良くなったお陰でペースを掴めるようになりました。フランスから留学中の大学院生だったため、EUの経済に関する雑談が面白く、また、この大学院生も経済学の教授もとてもかっこいいロールモデルのような女性の方々だったのも経済専攻を考え始めたきっかけだったかもしれません。
また、中間テスト直前、授業の形式をイマイチ理解できておらず、勉強方法がわからなかったので、McGraw Centerの個別カウンセリングを受けてみました。するとカウンセラーの方が丁寧に話を聞いてくださり、一緒にテスト勉強の計画まで立ててくれました!そのおかげでやるべきこともはっきりと見えてきました。
感想
この授業の評判は色々で、初回授業を受けてDrop(嫌いな授業を落として新しい授業を取ること)した友達もいましたが、私は大好きでした!基本的に授業の内容を理解するには自分で勉強しないといけない、教えてはくれない、という点に不満を持っている生徒もいたようですが、リーマンショック後の金融危機に関する記事・論文を読むのも面白かったですし、テストには出ないだろうという細かい部分もネットで調べてみるのも楽しかったです。
反省点としては、教授のOffice Hourに一度しか質問をしに行けなかったこと。来学期はもっと積極的に足を運ぶようにしたいと思っています。
最後に、中国語!
すでに英語以外の言語(日本語)ができるので第二言語は取らなくても良かったのですが、中国語がどうしても勉強したかったので取りました。今までスペイン語をかじった以外は一から言語の勉強をしたことがなかったので、なんとも新鮮で、とても楽しかったです!他の科目の勉強で疲れた時に、休憩感覚で勉強していたほどです。ルームメイトも同じ中国語の授業を取っていたので、部屋でその話で盛り上がることもよくありました。
授業の形式:
- 授業は毎日!(4人の先生がローテーションで教えてくださります)
- 毎週テキストの音読を録音して提出(先生が発音チェックをしてくれます)
- 2週間ごとに10分の個人レッスンがあります
- 金曜日は毎週テスト
6人の小規模授業で常に中国語を話さなければ行けないので、かなり体力を使いますが、毎日授業がある分クラスメイトとも大変仲良くなりました。それにしてもクラスメイトの二人は広東語を話す子達、一人はタイで数年間中国語を学んでいた子、一人はお母さんが家で中国語を話す子で、初日から皆レベルが高すぎてびっくりしました。笑
感想
中国語はテキストの内容もネタが多くて面白かった上に、先生方も皆フレンドリーで、とにかく楽しかったです。毎週中国語の先生たちと夕食を食べながら会話をするChinese Language Tableにも通っていました。中国語の授業はシステムが整っており、毎週のルーティーンがはっきりしていたので、確実に身につく感覚があり、安心して勉強することができました。文句を一つつけるとしたら、Grade Deflation(A評価を与える生徒の数に制限があるシステム)でテスト平均が97点でないとA評価をもらえない!という点ですかね。でも楽しかったので、来学期も続けます〜
授業だけを振り返るだけでこんなに長い記事になってしまいましたが、とにかく勉強が楽しい!ということが伝わっていれば嬉しいです。
13〜14科目も必須で取らなければいけなかった高校の時と比べて、4つしか取れないとなると何を勉強するか必死で考えるようになり、そのおかげで秋学期はかなり満足のいくコース選択ができたと思っています。
春学期も楽しみ!
以上、えみりでした!それではまた!
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