こんにちは〜
今回は今週のテーマに沿って、秋学期に受けた科目と春学期の予定について書こうと思います。
秋学期の科目
純ジャパということもあり英語力やそもそもアメリカに長期滞在すること自体に不安を抱えながら、9月に学期のスタートを迎えました。取った科目はWriting Seminar、Math、Mathematical Biology、そしてArt Historyの4つです。1つずつ、様子を紹介してみようと思います。
Writing Seminar
これは英語がネイティブではない一年生にとっては一番ハードなコースだと思います。読んで字の如く、基本的には論文を書く練習をセミナー形式で行うコースなのですがWritingの宿題だけではなくReadingの宿題もかなりあり、授業では少人数でその内容をディスカッションするのでしっかり読み込んでおかないといけなかったため苦労しました。(ときどき、Do not skim throughと念押しの注意書きもありました笑) しかし、授業の内容自体は論文の書き方の基礎からしっかりスタートしてくれて、言語面をdisadvantageに感じることも殆どなく寧ろ自分のアイデアを定期的にクラスメイトや教授に見てもらえるので結構楽しみでした。私のセミナーのテーマは環境問題だったのですが、それぞれのクラスメイトがこの問題に対して経済と文化の関連を書いたり、心理学的な要素について書いたり、公共政策の問題点について書いたり、イデオロギーの誤謬について書いたりとディスカッションをしていてとても楽しいものばかりで新しい発見も多々あったのでまさにリベラルアーツ教育を感じられる授業だったと思います。ちなみに自分は哲学的なアプローチで論文を書き、自分なりに気候というグローバルな対象についての問題解決が異文化間でどう行われているかというようなところについて考えることができてとても楽しかったです。
Math
今のところmathをmajorに考えているのでそのための必要なコースの1つであるmath 216を取りました。(実はこのコースより少しレベルの低いコースでも要件を満たすのですが多くのmath major志望はこのコースを取ります。) この授業に関しては数学科志望の子くらいしか取らないと思うのである程度の知識はあると仮定して書いています。このコースの内容は、基本的な集合論、群環体やベクトル空間、その間の射といった代数構造の基礎を実数を構成しながら学び言葉遣いを整備した上でノルム空間、距離空間を経て、位相空間論(主にハウスドルフ性やコンパクト性に関する主張を得るため)を学び、ベクトル空間の間の写像の連続性、微分可能性などを学んだ後に級数について学び終了という形になります。一番最後に示されるStone-Weierstrassの定理はこのコースならではだと思いますし、個人的にとても好きな主張でした。(この定理のもっとも有名な帰結として実数のコンパクト部分集合上の連続関数は全て多項式で近似できる、というものがあります。) 恐らく数学を志してプリンストンに来る学生は上記のような範囲は自分で終わらせているということも多いとは思いますが、最初に言葉を整備してくれている分、実解析部分も綺麗にまとまっていて自分の知識の整理にうってつけだと思うので取る価値は十分にあると思います。このコースでは線形代数におけるEndomorphismや内積空間の話をしていなかったり、積分に関してはまるまる抜けているのでもちろん続きのコース(math 218)があり、このコースを合わせてmath majorになるための要件を満たすことになります。mathのコースの成績は基本的に宿題の問題(だいたい週に10問強で難しい問題は30分以上考えることもあるのでなかなか時間がかかることもあります)と中間、期末試験の結果をもとに付けられます。
Mathematical Biology
このコースは応用数学のコースで、Freshman Seminarという一年生だけが取れるセミナー形式の授業の1つです。解析した生物学的なモデルは主に、生物の進化のモデル全般、単一の生物内におけるStrategy(例えば、ほかの個体に出くわしたらどちらかが死ぬまで攻撃するや逆にすぐに逃げるなど)の競争のモデル、ウイルスの拡散のモデルでした。そのために使った数学的技術はゲーム理論と微分方程式でセミナーの前半は基本的にゲーム理論の講義が中心で、微分方程式については手で解いて解を求めるというよりは単純に平衡を求めたり解をコンピューターに計算させるという形をとりました。いかに異なった生物学的な状況が同型な数学的モデルで記述できるかという点や、状況をどこまでどのように単純化してモデリングをするかという点などが終始強調されていました。授業の最後には自分でモデルを作る場が設けられていて、例えば自分は生物間のネットワークとPublic Good Gameというゲーム理論の1つのモデルを組み合わせて人間が各コミュニティ内で協力関係を築いていくメカニズムの1つについてのモデルを作りました。純粋数学に疲れてしまった時などに応用数学で気分転換できるのはなかなか良いと思うので純粋数学志望の人にもオススメです。もちろん、純粋数学は怖いけど数学には興味があるという人も楽しめるようなカリキュラムになっていると思います。
Art History
最後に紹介するのはArt Historyです。こちらは完全に純粋な興味で受講してみました。ほかの人たちが美術館が楽しいという中、自分は綺麗だなぁ〜と思うくらいしかないということが多々あったので是非とも美術館を楽しみたいということで受講してみました笑 この授業はとてもユニークで一回から二回ごとに扱う場所や時代が変わるたびに教える教授も変わるという形を取っていて、それぞれのテーマをより深くそれでいて分かりやすく学ぶことができました。例えば、Landscapeというテーマで中国の水墨画とアメリカの南北戦争前の風景画の授業が連続してあり、どちらもありのままの風景をそのまま書くのではなく何らかのメッセージをlegibleにするために変更が加えられておりその方法がどう異なるかを実際に大学にある美術館に行きグループでディスカッションをするなどしました。このような美術館でのディスカッション(プリセプト)はなんと毎週あり、講義の内容の理解を深めることができました。そして、現代アートに関してもしっかりと講義があり、例えばただの黒い正方形を書いた抽象画は物質世界を超越した(物質世界に依存しない)芸術というものを表現している一方で色の三原色そのままをのせた抽象画は逆に物質世界を純粋に表現しているなど、抽象画というのはコンテクストまで知ってこそ楽しめるものなのだということを再認識できました。(ちなみにこのころの芸術は当時の唯物論と観念論の対立を反映している部分もあるようでとても納得しました。)
春学期
春学期に取ろうと考えている授業は数学2つ、linguistics、moral philosophy、そしてmacroeconomicsです。数学は1つは秋学期に取ったクラスの続きでendomorphismや内積空間、積分、多様体論の基礎について扱うコース、もう1つは可換代数のコースで基本的には有名なAtiyah, MacdonaldやMilesの教科書に沿う形での授業です。ほかの3つに関してはintroductionのコースなので各分野の基本的な概念について一通り学ぶ感じだと思っています。